家にかわいい龍がいたのです。
そう、マンガ日本昔話の龍!!これは行ける!!
この龍をイメージして制作に取りかかることにしました。
龍のような込み入ったデザインになると金属から直接削り出す方法ではなくて、WAXという宝石加工用の「蝋」で、龍を彫っていきます。というのはWAXは柔らかく加工しやすいし修正も思いのままなのです。
WAXで削りだした龍がこれです。
ジャーン!!ヒゲを着けたら出来あがーり。
この龍の出来上がりにY様はとてもお喜びいただきまして、本当に私も嬉しかったです。
お客様の頭の中まだ形になっていないものを形にすることはたしかにむつかしく、ここには書いていませんがいくつも障害がありました。
でも、お客様にご満足いただけるものをお作りできたとき本当にこの仕事をやってて良かったなと思います。ほんとうに感謝なのです。
ありがとうございます。
ガオー
この龍のWAXを石膏に埋めオーブンで焼きます。
そうするとなかのWAXが溶け出し、龍の形の穴が石膏の中に出来ます。そこに溶かした金を流し込むのです。
龍のような螺旋状で込み入ったデザインは鋳造がとてもむつかしいので貴金属鋳造では大阪でいちばんうまい洋孝工房の小林さんにお願いしました。鋳造が出来上ったのがこのリング。
溶けた金が隅々まできっちり行き渡るように湯口(金を流し込むための穴)が取り付けられています。
この湯口を上手に付けられるかどうかで鋳造が上手くいくかどうかが決まるとても難しい仕事です。
上手くいかないと、そこで溶けた金属が渦を巻き穴が空いてしまうのです。(巣といいます)湯道を切りとり、全体を仕上げます。
この状態ではなんだか間抜けヅラです
それは青葉の鮮やかな5月の事でした。
Y様からご相談を受けました。
Y様:龍の指輪を探してるんだけどありませんか?
一成:どのような龍の指輪ですか?
Y様:蛇のようにくるくるッと指に巻き付いてるような龍の指輪です。
一成:う〜ん。蛇の指輪なら見たことがあるのですが龍でそのような指輪は見たことがありません。
Y様:ずっと探しているのですがどこに行っても見つからなくて・・・
繊細な龍のウロコひとつひとつ磨き上げるのはとても根気のいる作業です。磨き上げ、目にルビーを石留めします。
「画竜点睛を欠く」とはよく言ったものです。目にルビーを入れることによって龍がより龍らしくなりました。しかし、まだ貫禄が足りません。
そう、ヒゲがついていないのです。
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一成:ご希望の龍をスケッチしてみましょうか?
Y様:お願いします。
一成:その龍はY様が着けられるのですか?
Y様:いえ、ニューヨークに住む27歳の息子の嫁にプレゼントしたいのです。
一成:こんな感じの龍ですか?
Y様:だいたいそうです。頭の向きはリングに合わせてください。
一成:はい。他に特別なご希望はございますか?
Y様:目にルビーを入れてください。それで、若い女性が着けるのであまり仰々しくしないでください。頭は小さくかわいい龍にしてください。
ということで制作させていただくことになりましたが・・・龍のイメージですが過去に作ったものやデザイン集、雑誌、インターネットでイメージを探しましたがいい雰囲気の物がなかなか見つか
りませんでした。途方に暮れて家に帰ったその日のこと・